あだちの水辺生き物調査隊「五反野親水緑道」

どんな場所?

住宅地の公園に隣接する水路

五反野親水緑道は、五反野駅近くから五反野コミュニティ公園の先まで続く約900mの緑道です。
水路の水は綾瀬川から組み上げて、浄化施設で処理された後流されています。
水路には小魚やカワニナが見られ、カワセミなどの野鳥の憩いの場にもなっているようです。

見つかった生物

令和2年の調査では15種の生物が見つかりました。しかし、そのうち1種は特定外来生物に指定されている生物でした。
令和4年は調査予定でしたが台風の接近により中止となりました。

魚類

モツゴ
[コイ目コイ科]

令和2年調査
関東より西の四国九州などに分布し、中国東部、朝鮮半島、台湾など東アジアに広く生息する小型の淡水魚。側面に黒い線があるのが特徴。関東ではクチボソとも呼ばれます。
今回の調査では、水深の少し深いところにかご網の罠を仕掛けて採集できました。

オイカワ
[コイ目コイ科]

令和2年調査
北陸・関東地方以西の本州、四国瀬戸内側、九州などに生息する小型の魚です。体色は光沢を帯び、特に雄の婚姻色はとても鮮やかです。
今回の調査ではオイカワの稚魚が捕獲されました。調査範囲外の地点では成魚の群れも視認でき、この場所でしっかり繁殖していると考えられます。

カダヤシ
[カダヤシ目カダヤシ科]

令和2年調査
北アメリカ原産で、日本でも分布を広げている特定外来生物。ボウフラをよく食べることから蚊を絶やす目的で日本各地で放されました。和名のカダヤシも「蚊絶やし」が由来です。卵を産まず、体内で卵を孵化させてから産む「卵胎生」の性質を持ちます。
今回の調査地ではオスとお腹の大きなメスが数多くみられました。

甲殻類

スジエビ
[十脚目テナガエビ科]

令和2年調査
北海道から九州、朝鮮半島まで生息する淡水エビ。日中は岩陰や植物の影などに潜み、夜に活発に活動します。肉食の強い雑食性で、ミミズや魚類の死骸など食べます。
今回の調査では、川岸や川底を掬ったときに捕獲されました。

アメリカザリガニ
[十脚目アメリカザリガニ科]

令和2年調査
アメリカ南部に生息するザリガニ。ウシガエルの餌用として日本に持ち込まれたと言われています。雑食性で植物や水草、小魚や水生昆虫など何でも食べます。
今回の調査地では、小さなザリガニが1匹だけ捕獲されました。

カワリヌマエビ属
[十脚目ヌマエビ科]

令和2年調査
カワリヌマエビ属のエビは東日本では、自然分布していませんでしたが、国内に生息するミナミヌマエビや海外のカワリヌマエビ属のエビがペット用として持ち込まれたものなどが放され、各地で定着してしまっています。雑食性で生物の死骸や藻類、デトリタス(※)など何でも食べます。
今回の調査地では、水路の至る所で大量に捕獲されました。
 ※デトリタスとは泥の中に含まれる有機物の事です。

ベンケイガニ
[十脚目ベンケイガニ科]

令和2年調査
千葉県以南に生息しています。足立区を走る荒川の土手でもよく見られますが、今回の調査地でも水路脇にたくさんの巣穴が掘られ、覗き込むと潜んでいる様子が見られました。
生物の死骸や草本類、泥の中の有機物などを食べます。 

クロベンケイガニ
[十脚目ベンケイガニ科]

令和2年調査
秋田県以南の日本海、東京湾以南に分布し、海に流れ込む水路や河口、干潟などに生息しています。ベンケイガニと違い、体が黒っぽいのが特徴です。土手に巣穴を掘って潜みます。今回の調査地では水路脇に出ている個体をタモ網で捕獲しました。
生物の死骸や草本類、泥の中の有機物などを食べます。

昆虫

ヒメトビケラ属(幼虫)
[トビケラ目ヒメトビケラ科]

令和2年調査
幼虫の体長が2-6mmの小さなトビケラで、終齢幼虫だけが砂粒や糸状藻類で鞘状の巣をつくります。とても小さいため、分類や生態などについて分かってないことが多い水生昆虫です。

コガタシマトビケラ属(幼虫)
[トビケラ目シマトビケラ科]

令和2年調査
本州、四国、九州、沿海州などの平地河川の主に下流域に生息しています。口から糸をはいて砂利や砂で石に付着する巣をつくり、餌となる動植物の破片をとるための網もつくります。
今回の調査地では川底の石の裏に隠れていました。

シオカラトンボ属(幼虫)
[トンボ目トンボ科]

令和2年調査
トンボの幼虫にしては短い体型で、毛深いのが特徴です。池や湿地など流れの緩やかな場所に生息し、区内では学校の屋外プールでもよく見かけます。
水底の泥に浅く潜って生活し、今回の調査地でも泥の堆積した場所で見つかりました。

ガガンボ科 蛹(さなぎ)
[ハエ目ガガンボ科]

令和2年調査
ガガンボ科は種類が多く、日本全国に分布しています。成虫は蚊に似た姿をしていますが、血を吸うことはなく、花の蜜などを吸います。幼虫は様々な環境に生息し、種類によって食べるものも異なります。
今回は石に張り付いている蛹が発見されました。

貝類

シジミ属
[マルスダレガイ目シジミ科]

令和2年調査
淡水域に生息するマシジミによく似ていますが、外来種のタイワンシジミとの交雑種である可能性もあります。今回の調査地では砂礫(されき)が多い箇所でよく見られました。

カワニナ属
[吸腔目カワニナ科]

令和2年調査
河川や水路などの流水域に生息する巻き貝。ホタルの餌になる貝として有名です。関東周辺には主にカワニナとチリメンカワニナが分布しますが、琵琶湖水系に分布するカワニナ類が全国で撒かれ、元々いた種と交雑してしまい、正確な識別が難しいです。

環形動物

イシビル科
[無吻蛭目イシビル科]

令和2年調査
日本全国に分布し、河川や水田などに生息するよく見かけるヒルの仲間です。ヒルは人間にくっついて血を吸うイメージがありますが、イシビルは人の血を吸わず川底の石などにくっついて水生昆虫やイトミミズ、魚の死体などを食べる川の掃除屋です。
今回の調査地では川底の石に張り付いていた個体が捕獲されました。

エラミミズ
[イトミミズ目ミズミミズ科]

令和2年調査
日本全国に分布しており、河川や水田などの泥の中に生息します。体の後ろに糸状の沢山のエラがあり、これを水中で揺すって水の流れを作り呼吸しています。
腐食性で、泥の中の有機物などを食べます。
今回は川底の泥の中から発見されました。